秋田県の人口減少問題と対策を考察

ここ数日は人口減少問題について考えていました。

"秋田県 問題"で検索すると、まず引っ掛かるのが人口減少問題です

 

www.j-cast.com

上の記事を引用しますと、"秋田県は、出生率や婚姻率、死亡率、自然増減と、死因別死亡率の悪性新生物(がん)、脳血管疾患、自殺率で、全国最悪となった"とあります。(記事は2016年12月に執筆されたようです)

2017年現在人口減少問題は秋田県だけではなく日本全国で取り組むべき問題だと思いますが、その中でも秋田県は最も深刻な状況下にあるようです。

私はこのような問題の浮上は、行動に変化を起こすきっかけとなると思います。ワースト1位だからこそ動かなければならないという意識が生まれるものかなと。

そこで、秋田の人口減少問題をどうやって解決するのってことをちょっと考えてみます。例のごとく下調べはほとんどなしで、今ある知識で考えます。

考察は秋田に住む日本人を増やして解決するという前提で行います。また、本記事では人口減少対策としてどういうことを行えばいいのかというざっくりとした全体像を描くことを目的とします。じゃあ具体的に何をすればいいかについては、ここからさらに調べて考え出す必要があります。後日何かいい対策が思いついたら、執筆するかもしれません。

 

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(画像はアンサイクロペディア 秋田県より)

まずはじめに、秋田の人口減少問題について分解してみました。大きく分けると【1】若者の県外流出の増加【2】移住者の減少【3】県民が子供を産まない【4】県民が死亡するという4つになると思いました。

要するにこの4つの問題を解決していけば、人口減少問題は解決するというわけですね。ではそれぞれの項目について、できれば対策まで叩き台として提示することを目指して考察します。

 

【1】若者の県外流出の増加

【1】-1 大学進学、就職先、若者の考えが原因

秋田県は高校進学率が高いです。私の周囲の人間も高校受験をしなかった人はほとんどいませんでした。というわけで、高校まで卒業するとしましょう。

高校生は進路について、(1)大学か(2)就職を選ぶわけです。

 

まず(1)大学進学した高校生のケース。

もちろん県内の大学に進学する場合もありますが、秋田県内に大学の数はそれほど多くないため、たいていの高校生は県外の大学に進学することになります。ここでまず流出が発生しますね。

つまり①大学進学が人口減少の原因のひとつです。ただ大学全入時代と言われる今、個人的にはこれはあまり問題にならないようにおもいます。むしろこのあとに挙げる就職先などが人口減少問題の解決に重要だと思います。

 

そして大学(または大学院まで)を卒業した後、大体の人は”良い”就職先を探します。ここから先ほどの(2)就職を選んだ秋田県内の高校生と状況が一緒になります。

いわゆる就活というやつです。起業やその他の道を選ぶ人もいるでしょうが、現代で一般的ではないと思うためここでは考察しません。

"良い"という部分は時代によって大きく変わります。最近は安定かつ福利厚生が厚い公務員が人気があるようです。また人気企業ランキングなどをみても、順位の高い企業には福利厚生の厚い大企業が多く、いわゆるブラック企業は順位が低くなります。良い企業が秋田にあれば、入社希望する若者が増え、その結果秋田の若者が増加するということになります。

つまり、②若者が"良い"と思う企業が秋田にないことは人口減少の原因になると思います。

ただし当然のことですが、価値観は人それぞれですから、一般的に良いと言われてるからといってその人とって良いとは限らないでしょう。また、お金を持ってる企業ほど、うちは良いと喧伝して優秀な人材を集めようとするわけですから一般的な企業ランキングの上位はCMで知られるような東証一部上場企業だらけです。

そんなこんなで就職を目指す若者は企業の採用試験を受け、説明会から面接を受けてお祈りされたりという試練を乗り越えて、晴れて企業に入社します。で、入社後配属先で働くわけですが、その配属先が秋田でなければ人口減少ですよね。

つまり、③入社後の配属先に秋田がないことは秋田の人口減少の原因です。

 

さらに、そもそも秋田県出身の若者が「地元に住みたくない」と思っていたら、いくら先に挙げたその①、②、③の対策を行ったところで効果がないでしょう。

個人的な話を例に挙げますが、私自身が実家を離れた理由の一つは親との不仲です。今でこそ秋田に帰って親を支えることを考えていますが、以前の私は実家に帰るなどあり得ないと考えるくらいには親と仲が悪かったのです(今もそんなによくないけどね)。よって必然的に実家から遠ざかる選択肢を選びました。こういう人間関係、特に親との問題から秋田を離れようとする県内の若者は、個人的には結構いるのではないかと思います。

他にも親しい人間はみんな県外に行くからとか、こんな人間関係のある土地にいたくないなど様々な理由があると思います。ただ私の場合は他の土地での生活を経験し、あの頃はダメだと思っていた理由も大した理由ではなかったことに気付き、秋田へ帰ることに前向きになりました。ですが、考えが変わらない人もいると思います。

つまり、④若者にそもそも「地元に住みたくない」と思わせることは人口減少の原因となります。

私は地元に住みたくないと考える大きな要因は人間関係だと思っています。もちろん他にも低賃金や気候など理由はあります。

 

【1】-2 対策

対策案は思いついたものをさらっと書くことにします。いつだれがどこでなどの具体性は皆無ですが、現状は見えてませんし、肉付けは後でもできますので。

①大学進学により若者が減少するということに対して、安直ですが大学に進学させないようにするという対策が浮かびます。ですが、個人的には反対です。月並みな理由ですが、世の中には大卒以上を募集要件にする企業が多いためです。もう一つ理由挙げれば、今後AIやロボットが活躍する時代が来ると予測されています。もし実現したら子供たちは将来AIやロボットを使う側であったり、それらができないことを学ぶ必要があると考えられます。大学はそのような内容を学ぶのに役立つと思います。他にもいくつか理由は挙げられますが、大学進学は可能ならばするべきというのが私の意見です。

進学させない以外に敢えて対策を書くなら、有名大学の研究施設を含む教育機関を秋田に作ってもらい、学生は1年間秋田県で過ごすというカリキュラムを設定してもらうことでしょうか。短い期間ではありますが、人口減少の対策にはなりますし、後にのべる【2】移住者を増やすため対策の一つにもなると思います。正直思いつきで書きましたが、お隣山形に慶応の研究機関があったりするし、熊本地震東海大学の話があったりと、悪くないかもしれませんね。

 

次に、②と③に挙げた若者が良いと思う企業を増やすための対策についてです。個人的にはこれが人口増加に向けた最重要課題だと考えています。例えば先の大学の例と同じく優良企業の誘致することが一つでしょう。起業支援を行うことや、県内の企業をいわゆる優良企業に変革することを支援する体制を整えても良いと思います。繰り返しますが、大事なのは若者が働きたいと思える企業であることです。

 

続いて④若者が地元にいたくないと思わないために何をすればよいかということですが、当然ですが親との関係を改善することが一つです。また、地元で親以外で信頼できる人と繋がることも解決策になると思います。私は高校までしか地元にいませんでしたが、特に家族以外の人間と信頼関係を築くのが難しい土地のように感じました。家庭の事情を周囲の人間に相談することが一般的ではない県民性であるように思います。もし家庭内でしか人間関係を築けていない場合、家庭内で仲が悪ければ、こんな場所から出ていきたいと考えるのは当然のことでしょう。ですが、このとき友人や仲間、頼れる大人など信頼できる人がいれば、考え直すきっかけにもなります。今後は地域にいる人たちで家庭の問題を共有して、支えあうような意識と取組みが必要なのではないかと思います。こういう取り組みが秋田で生活したいという考えにつながるのではないでしょうか。

 

ここまで【1】県内の若者が流出する原因として、①大学進学②良い企業の不足③配属先が秋田ではない④若者が地元に住みたくないと思うという4つの原因を挙げ、それぞれの問題への対策案を述べてきました。以降もほぼ同様の流れで進めます。

続いて、秋田県内の出身者ではなく、【2】県外からの移住者について考えます。

 

【2】移住者の減少

【2】-1 移住する理由はなんとなく魅力があるから

秋田県外から移住する人を増やせば人口増加に繋がります。かなり【1】で行った県内の若者を考える場合と似ていますが、故郷であるかそうでないかは、定住する上で大きな要素になると思いましたので、分けて考えます。

秋田県に住みたいと思って移住し、定住する理由としてどういうものが考えられるのでしょうか?ざっと考えると、秋田県に魅力を感じたから②どこでもよかったがなんとなくといった理由が浮かびました。

 

【2】-2  秋田県に魅力を感じたという人が移住するまで

秋田県に魅力を感じて移住するという人がどういう流れで移住するのか考えてみると、(1)魅力を知る→(2)実際に行ってみて魅力を確認、または発見→(3)移住を考えるイベントの発生→(4)移住と定住といった感じだと思います。

(1)魅かれるきっかけは、人に聞いたり、本で知ったり、自分の脳内ファンタジーで惹かれて(?)など様々です。ここでいう魅力とは主に秋田の特色(自然、祭り、食べ物など)と県民だと思います。なかには(1)を飛ばして事前情報なしに行ってみる人も結構いると思います。

(2)で実際に行ってみて、魅力を実感できれば好印象を持つと思います。新しい魅力を発見することもあるかもしれません。あとで思いだした際に移住してもいい土地だなと思えることが大事でしょう。

(3)次に移住を考えるきっかけが必要だと思います。(2)でいくら好印象を抱いたからと言って、すぐに移住しようと考えることはたぶんないと思います。大体の人は最初から移住を考えて観光地に行ったりしないと思います(多分)。つまり、移住を考えるきっかけが生まれる必要があります。きっかけとは、天変地異やら政府の政策やら、会社の都合やら様々あると思いますが、仮に移住先を選べるきっかけが起こったとします。で、どこに移住しようか?と考えた際に秋田という選択肢があればよいわけです。この際にどうして秋田なのか?という問いに納得できる理由があれば移住に前向きになるでしょう。

(4)で、実際に複数の選択肢から秋田を選んで移住します。仕事や大学で秋田に来た人はいきなりここからスタートすることになります。実際に住んでみて出ていきたいと思うようならば余程のことがない限りは定住につながらないでしょう。中にはジプシーのごとく移住を繰り返す人もいるかもしれません。ともかく移住して、大きな不満が無ければ定住となり、結果人口増加に繋がると思います。

①魅力を感じて移住する人はこのような流れで定住するのではないでしょうか。

 

【2】-3 どこでもよかったがなんとなく移住してくる人

で、もう一つの②なんとなく移住ということについて。なんとなくで移住しないでしょと考えるかも知れませんが、福井県鯖江市の行っているゆるい移住がモデルになります。気になる方は調べてみてください。住んでみることを体験してもらうのはとても良い事業だと思います。行くのと住むのでは大きく違いますから。住めば都と言いますし、簡単に移住できる環境をつくることは移住促進に繋がると思います。また、魅力を感じている人でも簡単に移住できるようになります。

なんとなく移住を考える人も、先の(4)実際に複数の選択肢から秋田を選んで移住からスタートすることになると予想してますが、実際のところ不明ですね。

 

【2】-4 移住増加対策

さて、ここまでに移住を考える人を①魅力を感じて移住する人②なんとなく移住する人の二つに分類しました。ではそれぞれに対する思いついた対策を紹介します。

①の対策について、先に述べました(1)魅力を知る→(2)実際に行ってみて魅力を確認、または発見→(3)移住を考えるイベントの発生→(4)移住と定住という一連の流れをより良くすることと、より円滑に進められる仕組みが存在することが重要でしょう。つまり、(1)魅力を発信し続けることが重要でしょうし、(2)実際に秋田に来たとき県民を含む秋田の特色に触れ合える機会があると良いと思います。(3)移住を考えるイベントについてはほぼ天に任せるしかないかもしれません。例えば妊婦さんが特に住みやすいように補助金を含めた支援制度と子育て環境を整えるなどは可能だと思います。対象を絞ることがポイントだと思います。(4)移住後に地域で住みよい街が出来ていれば定住に繋がるでしょう。逆に(1)から(4)までどれか途切れると、移住が進まなくなると思います。円滑に進められる仕組みですが、例えばA社に相談すれば、秋田の魅力を教えてもらえたりその発見を手伝ってくれたりして、実際に案内をしてもらえて、移住を考える相談にも乗ってもらえて、実際の移住を手助けしてくれるみたいな(案内するとなれば旅行業法、住む場所を紹介するなら宅建業やらなにやらで利権が面倒ですが…)。県から移住に関する民間事業へ助成金を出すのも手かもしれませんね。

続いて②なんとなく移住する人を増やすためには、なんとなく移住を考えたときに移住しやすい環境を作る必要があります。家賃と車代込みで1月あたり4万ぐらいで貸してくれる制度があればなんとなく移住者する人は増えるんじゃないでしょうか。または1年間住居無料で貸しますよでも良いかもしれませんね。募集人数少なめで少しずつなんとなく移住してくる人を集めたらよいと思います。魅力を感じて移住する人にとっても良い制度だと思います。

移住者増加に向けた対策はこんな感じです。

 

続いて、【3】県民が子供を産まないということについて考えます。

 

【3】県民が子供を産まない

子供の数を増やせば人口増加に繋がるでしょう。少子化は日本全体が抱える問題です。というかほぼすべての先進国に共通する問題ですよね。秋田は婚姻率、出生率、ワースト1位ですので、特に取り組んでいくべき問題と思えるのではないでしょうか。

 

まずこの問題を考えるに当たり、男女の出会いから始まる、子供を産み、育てるまでの全体の流れを考えてみました。

①出会い→②親密な交流→③性行→④懐妊→⑤出産→⑥子育て

こんな流れではないでしょうか。

つまり子供が増えないのは、子供を産むことのできる世代がこの流れを達成するのが難しいと考えているためだったり、実際に難しいためと考えられます。その理由は"若者が子供を産まない理由"とかで検索するといろんな意見がすぐに引っ掛かります。代表的なものはお金がないとか、相手がいないとかでしょうか。

 

若者が子供を産むためにどうしたらいいのかということについてですが、色んなところで言及されすぎてるのでこの記事ではこれ以上は特に考察しません。

ちなみに秋田県では少子化対策についてすでに動き始めているようです。秋田で結婚を考えている人や、結婚育児に関する制度を整えようとしている企業は支援を受けられるようなので、調べてみると良いと思います。この働きかけにどの程度の効果があるかはこれからわかってくることでしょうし、対策を打ち出していることについても評価できます。少子化は日本が抱える大きな問題ですから、ワースト1位の秋田県での改善は国も加わって行うべきともいえます。秋田以外でも日本のどこかで少子化対策の成功例を作る必要はあるでしょう。

また、大事なのは当事者が結婚を希望するかどうかでしょうし、子供がほしいと思うかでしょう。いくら県が主導で動いてると言っても、県に結婚しろと言われてするようなものでもありませんし、子供を産めよと他人に言われて産むわけではありません。この辺りの若者の意識をどう変えていくかが問題になると思います。

【3】県民が子供を産まないという問題については、以上です。あっさりです。

 

それでは最後の【4】県民が死亡するということについて考えていきます。

 

【4】県民が死亡する

【4】-1 死亡率と平均寿命

県民が死ななければ、数は維持できて、人口減少は起こりません。しかし当然でありますが、人は生き物であり、いつか死ぬものです。

はじめに①死亡率について考えてみます。県民が死亡するということ関連して、秋田県の抱える問題として、最初に触れました"死亡率、自然増減と、死因別死亡率の悪性新生物(がん)、脳血管疾患"が日本一高いという結果があります。

まずこれを聞いたら、秋田県にいたら死ぬ確率が高いんだ!とか癌になる確率が高くなるんだ!とか感じるかもしれませんが、それは間違ってます

どういうことか説明しますと、死亡率とは10万人あたりの何人死亡したか?で割り出される数値です。

いったいどんな人が死にやすいのかなと考えると、高齢者でしょう。

秋田県 全国一の高齢化率で陥る「負のスパイラル」 - ライブドアニュース

で、上の記事によると秋田県高齢化率(高齢者の割合)も全国1位です。つまり、高齢者の割合が大きい秋田県の死亡率が高くなるのは必然です。がんも脳疾患も高齢者ほどかかりやすい病気で、これらの発症率や罹患率、死亡率が1位になるのは、単純に高齢化率が1位であるためという解釈ができます。

つまり、死亡率を減らしたいだけなら若者を増やせば解決できます。

 

でも、本当はどうなの?秋田に住んでたら死にやすいの?という点が気になります。というわけでそれを知りたければ参考にするべきは都道府県ごとの平均寿命です。

www.japan-now.com

上記URL(2017年当時)によりますと、秋田県は平均寿命では男性は下から2位(77.44歳)、女性は下から3位(85.19歳)となっています。男女ともに1位(男性は長野、女性は沖縄)とは約2年の差があるようです。全国平均では男性は1年程度、女性は半年程度下回っています。つまり、秋田県民は全国平均に比べて半年から1年程度早く死ぬというわけです。ちなみに最下位青森の男性は全国平均と比べて2年程度早く死にます。

正直、平均寿命と比較して半年から1年程度しか変わらんのかという感想も抱くかもしれませんが、ここでの目的は人口減少問題対策について考えることです。よって、県民の死亡による人口減少を防止するためには、平均寿命を伸ばすための対策が必要になります。

 

【4】-2 平均寿命対策

では平均寿命をどうやって伸ばすかということですが、実際に他県で行われている対策を取り入れることで解決できるかもしれません。ここでは効果が高いと考えられる対策を紹介します。一言で言えば、(1)減塩および冬季に家を温かくすること(2)ピロリ菌対策だと思います。

http://www.pref.nagano.lg.jp/kenko-choju/kensei/soshiki/soshiki/kencho/choju/

(1)については長野県の前例があります。長野県庁のHPによれば、長野県が平均寿命1位を獲得できた理由は脳卒中対策のために減塩と冬季に家を温かくすることを普及させた結果であるようです。かつて脳卒中死亡率1位だった長野県は保健補導員制度という保健予防活動を推進する運動を行い、減塩運動と冬の寒暖差防止の普及につとめました。その結果、長野県は平均寿命1位の県となりました。同じように減塩運動と冬季に家を温かくする習慣を普及することで、秋田県でも平均寿命を延長させることが可能だと思います。

 

もう一つは(2)ピロリ菌対策です。ピロリ菌はヒトの胃に感染する細菌で、日本人の胃癌の主要な原因と考えられています。

 

www.jca.gr.jp

http://www.gekkan-gan.co.jp/indexpro.htm

上記URLにあるように、日本癌学会によれば日本人の胃癌の98%はピロリ菌が原因だそうです。ピロリ菌感染者は20人に一人が10年後に胃癌になるという研究結果があります。また、最近ピロリ菌は胃癌だけでなく脳卒中アルツハイマー病、動脈硬化など他の疾患の発症との関連も示唆されています。つまりピロリ菌対策を行えば胃癌だけでなく、脳卒中動脈硬化の減少にもつながるかもしれません。

ちなみに塩分について。高齢者の比率が高いことはさておき、秋田県民の発がん率が高い理由としてよく塩分の高い食事と言われています。しかし、高い塩分を摂取しただけで胃癌を発症する動物モデルは知られておりません。ただし、ピロリ菌感染時に高濃度の塩分を摂取した際に、胃癌が起こりやすくなることは知られています。また、塩分量ならお隣の岩手県も同程度摂取しているようですが、秋田県の方が発がん率が高いことからも発がんの主要な原因が塩分の取りすぎとは考えにくいです(発がんに貢献はしてるでしょうけどね)。結局何が原因なのかを明らかにするためには疫学研究が必要ですが、調べてもほとんど見当たらないことから、全然行われていないのかもしれません。疫学研究がしっかり行われない限り、秋田県民の発がん率が高い原因は明らかになりませんし、原因がわからない限り対策も取れません。秋田県の健康事情を改善するためにはしっかりとした疫学研究が行われていく必要があります

さておき、胃癌発症率が高い秋田県民はまずピロリ菌がいるものと考えて、除去を積極的に行うべきだと思います。除菌後に再感染を防ぐことも重要になります。現時点で感染経路としてわかっているものは、ピロリ菌感染者からの経口感染、糞便を介した井戸水の汚染による感染などのようです。

ただ、除菌してから胃癌を発症することもあるようです。現在ピロリ菌除菌後の疾患の予防法として確実なものは存在しないようです。最近アスピリンが家族性の大腸がんを予防することがわかってきましたが、海外の研究では胃癌も予防できると報告されています。こういう報告から胃癌予防法で思いつくとしたら、ピロリ菌を除菌してアスピリンと胃薬を飲んでもらうことでしょうか。さっさと秋田で予防介入研究を行えばいいと思います。ま、今後の医学研究に期待です。それと上下水道の整備も重要でしょう。

以上、疾患による死亡が原因の人口減少を防ぐためには、(1)減塩に取り組み、(2)かつピロリ菌除去と予防を行っていくべきだと思います。

 

【4】-3 自殺率

そして次に考えるのが自殺率です。これもまた死亡率と同じく勘違いを産みやすい言葉のようです。死亡率と同じく10万人当たりの数値として割り出されるわけですが、当然のごとく秋田県には高齢者が多くいます。自殺の主な理由の一つとして、病気が挙げられるため、高齢者が多い秋田県は必然的に自殺率が高くなります。

 

grading.jpn.orgこちらのサイトにも書かれていますが、自殺率が高いのは高齢者が多いためである可能性があります。別の統計をみると、死亡者1000人のうち、自殺した人の割合が最も高い都道府県は沖縄県で35.74人です。2位が東京で27.61人。一方秋田県は全国13位で23.64人です。こういうデータを見ると秋田県ははたしてそんなに自殺してるやつばっかりなのかと疑問に思います。

では実際60歳までに限定した場合、秋田県の自殺率は何位なのでしょう?

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/other/10sibou/dl/gaikyou.pdf

厚生労働省HPに落ちていたデータを独自に解析してみました。

計算方法@具体的には平成22年の年齢調整死亡数(自殺)という数値を使いました。年齢調整死亡数は、各年代(20-24, 25--29,....,55-59歳)ごとに10万人当たりに直した場合の自殺率が計算されています。この数値を単純に20歳から59歳まで全部足して、多い順からランク付けしてみました。これによって仮に全国の都道府県の世代ごとの人間の数が同じだとしたら、20-59歳の80万人のうち1年で何人自殺したのか求めることができます。(本来は総和じゃなく、20-60歳までの自殺者数から10万人あたりの死亡数に換算したほうが正確ですが、参考データということで)

結果が以下。

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↑女性

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↑男性

都道府県の各世代あたりの人口が同じであると仮定して、20歳から59歳までの男性と女性の自殺率を調べた結果、女性は13位、男性は4位でした(総和は80万人あたりの自殺者数(理論値)になります)。このデータを解析して思ったことを列挙します。秋田県の20-59歳の自殺率も1位ではないが高かった特に男性の自殺率が高いただ意外と女性の自殺率は低めだった(それでも全国平均よりは高い)。

こういう結果が得られるわけだから、やっぱり働き盛りの世代でも自殺率は高め。すなわち自殺対策は特に秋田県の男性に対して積極的に行っていくべきなのでしょう。

じゃあ自殺予防には何をすればいいのかなということについては、これまた【2】少子化対策と同じく検索すればいろんなサイトで扱われています。ネット上では恋愛と心の病はPVを稼ぎやすいんですかね。というわけで、これについてもこのサイトでは特に考察しません。

ですが個人的にこれまた人間関係につきると思っています。また機会があれば触れさせてもらいます。【4】については以上になります。

 

まとめ

以上、人口減少の問題を4つに分解し、原因と対策について述べてきました。本記事では人口減少対策の全体像を掴むことを目的にしているため、既に秋田県で行われている人口減少対策などについてはほとんど触れていません。よって秋田県の人口減少対策を述べるというより、各都道府県として人口減少にどう取り組むべきかという内容にもなっています。

大きなフレームがわかったので、これ以降は①じゃあ実際に何がされてるの?とかを調べて、②それで実際私(たち)は何をするの?ってところを詰めていけば個々人の人口減少問題に対する対策が考え付くと思います。そして最後は行動ですね。

今後実際に調べていくと思いますし、これをすればいいっていう内容の記事も書くかもしれません。

ともかくここで考えました人口増加にむけて出来ることを行っていくことで、人口減少ワースト県から脱却できるのではないかと思います。

ただ、実行するに当たり様々な障害があるでしょう。

人口減少問題は一人で解決できる問題ではありません。スタートとなるワースト県からの脱出という想いと、秋田を発展させようという想いが一致している人たちと協力して輪を広げていき、実行することが大事だと思います。