傷物さくらんぼの可能性を考察

こんにちはトリスフです。

そろそろさくらんぼの季節かな~と思いまして、

本日は秋田県の名産品、三関のさくらんぼについて執筆します

 

ちなみに三関(みつせき)とは、ここです↓

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湯沢市内から13号線を山形の新庄方面にむかう途中にあります。車で行く場合、秋田市からだと下道で2時間半くらいかと。高速使えば乗ってから三関インターまで1時間弱くらいですかね。

 

秋田県湯沢市三関のさくらんぼは日本一の品質と言われているそうで、糖度が高いことが特徴です。

 

giftstotheearth.com

で、なぜ糖度が高いのかなーと調べてみたんですが、上記記事によれば、扇状地とか、豊かなミネラル水などが原因らしい。しかし、実際のところそれを三関できっちり科学的に調査した論文などはどうもなさげです。農家さんの絶え間ない努力の末に編み出された秘中の秘の技でおいしくなっているのでしょう。(何も考えず作ってみたら甘さたっぷりで美味かった!日本一じゃ!っていうストーリーの可能性は…多分ない)

実際私も食べたことありますが、県外で食べたさくらんぼより断然おいしいです。

なかでも加敬農園さんの高級さくらんぼ「クイーンブラッド」は1粒812円するそうです。一度食べてみたいですね~。

 

さて、そんな三関のさくらんぼですが今年(2017)はある問題が起きました。

www.sakigake.jp

www.asahi.com

上記二つの記事によりますと、5/15に湯沢三関で雹(ひょう)が降りさくらんぼの実が傷ついてしまったため売り物にならない可能性があるそうです。秋田県の見積もりによれば被害額は約2億5000万円だそうです。

実際のところ、まるで駄目になるのか、さくらんぼの表面に傷がついてしまった程度でおいしく食べられるのかは不明です。また、食べられるとしても傷モノの果物を買いたいという人はなかなかいないと思います。よって台風で落ちたリンゴの如く、傷ついたさくらんぼは廃棄されてしまう可能性があります。もし食べられるのに捨てられるなら実に私のMottainai spiritを刺激します(さすがにまるで育たない場合は諦めですが)。

 

じゃあ食べられる傷物サクランボが沢山あるとしたら、どんな活用法があるんだろうな~と調べたのが、今日の本題になります。

傷物さくらんぼの活用方法

二次加工食品

まず色々調べたところ、さくらんぼは生産期間が1カ月と短い、高価である、種を取り除くのが大変、あまり香りがしないなどの理由から二次加工食品はあまり作られていないようです。

それでもやっぱり最初に調べるのは食べものへの加工なわけで、日本各地でどんなものが売られているのかなーと調べてみました。さくらんぼを食品として加工する場合、さくらんぼジャム、さくらんぼ酢、さくらんぼ酒などがメジャーであるようです。他にもさくらんぼピクルス、さくらんぼゼリーなどがあります。

hishinumanouen.com

ジャムや酒のレシピについてはこちらのHPが詳しいです。結構簡単に作られますが、秋田県内ってやっぱりこういう二次加工品を目にすることが少ないですね。これはある意味チャンスなのでしょう。誰もやっていないなら先にやったもん勝ちですね。

 

国内でこういうのがある。じゃあ海外ではどうなんだろうってのも調べてみました。で、"cherry processed"とかで調べてみると…

www.plevasmeats.com

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サクランボを挽き肉と混ぜてハンバーガーを作っていた╮( ꒪౪꒪)╭

流石アメリカは一味違うぜ。そもそも美味しいのだろうか。なんと科学的説明までついてました。簡単に説明すると、食肉時に発生する活性酸素を果物の抗酸化作用が打ち消すことでより健康によいし、肉なのにサクランボの栄養も取れちゃう、っていう論理だそうです。なんだかこういうこと言われると一石二鳥で体に良さそうな気がする。でも、やっぱり向こうでも異常な組み合わせらしい。Unusual combinationですって。まあ気になるからちょっと今度家でやってみますかね…。

他にも干しサクランボ、サクランボヨーグルト、チョコレートでさくらんぼを包むなど実に多種類の加工品があるようです。まだまだ国内に輸入されていないさくらんぼの食品加工のアイデアがありそうですね。

とりあえず二次加工食品を作る場合はこんな感じ。

 

化粧品の可能性

それと、加工品で検索するとさくらんぼの化粧品のお話が引っ掛かりました。さくらんぼの果実をすりつぶしてパックとして使うと、小じわを防止してくれるとか紹介してるサイトが引っ掛かりました。

こういう系でがっつりやってそうな会社を見つけたので紹介します。

サクランボコーケン : 株式会社 高研

食用にならずに農業廃棄物となるサクランボから成分を抽出して販売しているようですね。皮膚の細胞に保湿成分分泌促進作用をもたらすという実験結果があるそうです。

つまりサクランボは食用ではなく、美容目的として使うこともできるようです。県内の化粧品を作っている企業と共同開発するなんてのも面白いかもしれませんね。

 

健康への活用

続いて、以前秋田県の人口減少対策を考察という記事でも触れました県民の健康事情の改善に使える可能性はあるのかなーと調べてみました。果物類は大体ポリフェノールが豊富です。サクランボではどういう医学研究が報告されているのか調べました。

すると、タルトチェリーという生食で食べられないサクランボについての研究報告がいっぱい出てきました。ちなみに日本でよく生で食べられるサクランボはスイートチェリーといいます。

「タルトチェリー」がスーパーフードとして注目される3つの健康効果 | おなかカンパニーROTTS

タルトチェリーとは何かについては上記URLを参考にしていただければと。というわけで早速サクランボ=cherryの効果を調べてみたわけですが…

 

文献1

Randomized double-blind crossover study of the efficacy of a tart cherry juice blend in treatment of osteoarthritis (OA) of the knee - ScienceDirect

変形性膝関節症の方にタルトチェリージュースを投与した結果、症状が和らぐという結果が得られたそうです。

文献2

Effects of Montmorency tart cherry (Prunus Cerasus L.) consumption on vascular function in men with early hypertension. - PubMed - NCBI

同じくタルトチェリーの論文ですが、早期高血圧の男性に対してタルトチェリージュースは血圧を急激に低下させる作用を示したそうです。

文献3

Consumption of anthocyanin-rich cherry juice for 12 weeks improves memory and cognition in older adults with mild-to-moderate dementia. - PubMed - NCBI

さらにタルトチェリーの論文で、タルトチェリージュース摂取で高齢者の認知や記憶障害の改善効果がみられたという論文もありました。

 

こんな感じでタルトチェリーがヒトの健康にえがったっていう論文は沢山見つかったのですが、日本でよく食べられる品種であるスイートチェリーを使ってヒトで試験を行っている論文は見当たりませんでした

タルトチェリーとスイートチェリーは前者の方が酸っぱいらしく、中身が違うためひとくくりにサクランボジュースの効果として同一視することはできません。ただ、それでもスイートチェリーもまるで効果がないわけではありません。

 

文献4

Fruit quality and bioactive compounds relevant to human health of sweet cherry (Prunus avium L.) cultivars grown in Italy - ScienceDirect

直接的な影響は実証していませんが、やはりスイートチェリーにも抗酸化物質が豊富であるため、ヒトの健康に良い影響を与えている可能性があるようです。

文献5

Dietary sweet cherry anthocyanins attenuates diet-induced hepatic steatosis by improving hepatic lipid metabolism in mice. - PubMed - NCBI

高脂肪食のマウスにスイートチェリー由来のアントシアニンを投与したところ、肝脂肪症の発症を緩和させたそうです。

 

このようにスイートチェリーがヒトの健康にどの程度良い影響を及ぼすか実証した研究は見当たりませんでしたが、抗酸化物質が豊富であるために何かしらの効果が期待できますし、実際に含まれている成分にも動物実験では脂肪蓄積抑制作用などの効果が期待できるようです。

スイートチェリーがヒトに良い効果があるのかについては、今後の医学研究に期待したいですね。もしも傷ありサクランボを廃棄してしまうという場合は、ジュースにして秋田大学や近くの病院で医学研究を行ってもらい、ヒトへの影響を調べるというのが有効活用の手段の一つだと思います。

 

あとがき

傷ついて商品として売れない…ってだけのサクランボを捨ててしまうくらいなら今回示したように色々な活用方法があります。紹介しきれませんでしたが、海外ではもっといろんな形のサクランボ活用方法があるようです。ピンチはチャンスという言葉の通り、傷物になってしまったサクランボの新たな可能性を模索することで、将来様々な形でサクランボを活用できるようになり、結果的に秋田県の活性化に繋がるのではないかと思いました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。